新型コロナウイルスの影響で韓国経済が冷え込む中、釜山市発行の地域通貨の利用が広がっている。紙幣ではなく、国内で広く普及したクレジットカードの決済システムを活用した電子通貨のため、市内の19万事業所で使うことができ、利用額に応じた最大10%のキャッシュバックも好評。10月下旬までに約87万人が約1兆2千億ウォン(約1100億円)分を市内で消費し、地域の経済振興を後押しした。
地域通貨の名称は釜山市の花トンベク(ツバキ)にちなんだ「トンベクチョン」。利用するには、まず地元の金融機関などで銀行口座と紐付いた専用カードを発行する。スマートフォンの専用アプリで希望額を購入するとカードにチャージされる仕組みだ。韓国在住者なら誰でも申し込める。
試しにスーパーでマッコリなど1万2千ウォン(約1100円)分を購入してみた。店員にカードを渡すと端末に差し込み、会計は約10秒で終了。すぐにスマホに10%の1200ウォンをキャッシュバックする通知が届いた。
毎月50万ウォン(約4万6千円)まで購入可能で、利用額の5~10%が決済直後に還元される。キャッシュバックは年間最大約3万3千円分まで受けられる。
クレジットカードの決済端末を活用するので、利用者も事業者も従来のカード決済感覚で使えるのが長所だ。百貨店などは除外されているが、飲食店やスーパーだけでなく病院、ジム、学習塾でも利用できる。
釜山市は2019年12月末、市内事業者数の約9割を占める小規模自営業者を支援しようと地域通貨を導入。1月の加入者は約9万人だったが、新型コロナ感染が拡大した2~4月に口コミで評判が広がり、約68万人が一気に加入した。
キャッシュバックの原資となる事業費は約1千億ウォン(約92億円)。釜山市が約4割、韓国政府が約6割を負担するが、キャッシュバックが呼び水になって地場消費を促進している。
釜山市の50代女性は「還元が魅力で大型モールでの買い物が減った」と話す。釜山市内のあるスーパーは「トンベクチョンを使う人は多い。コロナで減った売り上げの全ては埋められないが、助かっている」と効果を実感する。釜山市の利用者抽出調査によると、約65%が「百貨店やオンラインでの買い物が10%以上減った」と答え、地場消費へのシフトをうかがわせた。

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