製造業においても、IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)などのテクノロジー活用や、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を使うことが当たり前になってきました。一方で、以前からM2M(Machine to Machine)やFA(ファクトリーオートメーション)などのデジタル技術による自動化に取り組まれてきた方々にとっては、過去15年間の取り組みとDXの何が違うのか、疑問を持たれる方もおられるかもしれません。そこで本記事では、IoTを軸とした製造業におけるDXの進め方についてご紹介していきたいと思います。デジタルなしのトランスフォーメーション?経済産業省「DX推進指標」とそのガイダンスにおいて、DXは以下のように説明されています。企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。経済産業省「DX推進指標」とそのガイダンス(2019年7月発行)上記の定義を読んでみると、DXは決して新しい概念ではありません。実際、歴史をひもとけば、デジタルなしのトランスフォーメーションは幾つも見つけることができます。例えば、江戸時代の「米相場の手旗信号」は、トランスフォーメーション事例です。当時、滋賀県の大津では、大阪の米の相場に関する情報を飛脚が伝達し、1日遅れの情報に基づいて商売されていました。もっと早く情報を得ることができれば、もっと有利な商売ができるという強い思いから始まったのが、街道上にやぐらを建設し、その上に立った人が手旗で連携して相場を伝達する「手旗信号」です。その結果、当日中に情報を得られるようになりました。情報伝達の方法を変革することで、明らかに競争力の優位性が確立したわけです。近年の事例では、2000年前後から急速に広がったECサイトがあります。このケースは、デジタル化の成果を得ているのでDXといえるでしょう。当時、紙カタログから選んで、葉書などで購入申し込みをしていた通販を、デジタル化しWebサイトに移行することで、最新の情報、大量の商品から選んで、必要なときにすぐに購入できるようにしました。これら2つの事例の共通点は、物理的制約を「通信」を用いて変革しているという点です。先ほどの手旗信号の例では人の移動速度を、ECサイトの例では紙のカタログと葉書という物理的な課題を解決することで、新たな競争優位性を獲得しています。この考え方は、昨今のDXにも十分に当てはめて考えることができ、M2MやFAが目指す自動化と異なる点です。成功プロジェクトから見えてきた、DXを進めるための4つのステージ筆者が所属するソラコムはセルラー通信を軸にIoTプラットフォーム「SORACOM」を提供する会社です。すでに2万を超えるお客さまが、SORACOMを活用してIoTに取り組んでいます。お客さまに事例に関するお話を伺う中で、成功しているIoT活用プロジェクトには4つのステージがあることが見えてきました。昨今、DXとともにIoTやAIなどの技術キーワードを耳にします。それぞれの技術キーワードは万能にDXを実現するわけではなく、それぞれ使うべきステージがあります。以降のページで、技術キーワードとDXのステージを整理しながら、実際の活用事例をご紹介します。ステージ1&2:モノやコトのデータ化とリアルタイム共有「ステージ1」は、まだデジタル化されていないモノやコトをデータ化するステージです。データを活用するためには、はじめにデータ化を行う必要があります。例えば、紙の帳票を電子化したり、はんこを押していた稟議(りんぎ)をワークフローシステムで行ったりといったことが、このステージに当てはまります。その際、できるだけ自動的にデータが蓄積していく仕組みを作ることが必要です。データ化することで、情報が流通しやすくなり、必要なときに、必要とする人がデータを取り出して閲覧できるようになります。工場の機器や現地に設置した装置などの「モノ」もデジタル化することで、現地に人が行かなくても状況を把握できるようになります。このときに必要となるのがセンサーや、センサーの代わりに分析用の画像を取得するカメラといった技術です。「ステージ2」は、ステージ1で取得したデータをリアルタイムに共有したり、可視化したりすることで活用していきます。データはただ蓄積されているだけでは活用できません。冒頭の「手旗信号」の例のように、誰が何のためにデータを役立てられるか、そのために必要な伝えるスピードやリアルタイム性を考えていきます。このステージで使われる技術が、クラウドやIoTです。データを蓄積するためのサーバやストレージを準備したり、ネットワーク工事の不要なセルラー通信を活用したりすることで、データ活用の範囲をスピーディーに広げられます。ステージ3:大量データの分析と洞察のためにAIや機械学習を活用「ステージ3」では、蓄積したデータを分析しパターン化し、システム側が人に代わってデータに基づく意思決定を行ったり、一部のプロセスの自動化やリモート制御を行えたりするように計画していきます。このように大量のデータを分析し、洞察を得るときに必要な技術がAIや機械学習です。また、複数のデータを重ね合わせて管理する際には、BI(ビジネスインテリジェンス)やダッシュボードといった技術も必要になります。ステージ3まで到達しているDX事例ここからは、ステージ3まで到達している具体的な事例を見ていきましょう。AGCは、タンク在庫管理システムにより、「ステージ1」でタンク内燃料の検尺をセンサーによってデジタル化し、「ステージ2」でデータを蓄積し、検尺結果を自動的に記録するようにしました。そして、「ステージ3」では、データを分析し、ある一定の状況になった場合にシステム側で自動的に判断して、材料の発注を行うようプロセスを自動化しました。このように、従来人が行っていた判断をシステムに任せることは、現場の熟練技術者の知見を可視化し、組織のナレッジとすることができる他、定形業務をシステムに任せて、人でしかできない業務に人員を集中させることにつながります。ステージ4:複数の業務や企業間のDX共創で生まれる新たな価値このように特定の業務でのDXによる最適化が進んでいくことで、次に見えてくるのが「ステージ4」です。これは複数の業務のDXや、DXが進んでいる企業間による組み合わせによって、今までできていなかった全く新しいやり方が生まれる「新価値創造」のステージになります。ステージ4まで到達しているDX事例日本瓦斯(ニチガス)では、100万軒を超える利用者のスマートメーターに、ネットワーク搭載の検針デバイス「スマート蛍」を取り付け、ガスメーターのリアルタイム検針を実現しています。検針員の月1回の訪問という業務を削減するとともに、代わりに毎日のガスのリアルタイム利用状況のデータを得られるようになりました。DXのはじめの一歩、何から踏み出すべきかここまでご説明したように、IoTはDXのはじめの一歩となる技術です。新たな価値創造をゴールとする場合も、まずはモノのデータ化、データの共有や見える化から始めてください。https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2201/24/news006_4.html
IoTを軸に製造業DXを進める4つのステージ、そしてはじめの一歩(ソラコムのセルラー通信等を軸にデータの共有や見える化から始めてください。):MONOist ~抜粋+私感[コジーの今週気になるDXニュースVOL20220124-01]

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